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ちいちゃんのかげおくり

今回は、福島の皆さんからの月例会報告です!
熱いです!!!

演習内容
 ☆ 教師自身が教材の深い「本質(軸)」をつかむ。
・ どの教材でも、まず教師自身が深く洞察するのが最初。
・ 児童の実態に合わせた学習計画を立てるにしても、軸から離れては意味がない。

 ★ 学習計画
・ 教材の本質をつかませるにはどうしたらよいか、児童の実態に即してどうするかを考えて学習計画を立てる。
 ○ 学習計画1:意味調べ
・ 今回の教材は難しいので、意味を調べた上でないと、なかなか 軸をとらえることができない。

 ○ 学習計画2:あらすじを捉える。
・ 捉え方の方法は様々。子どもが心に残ったことをことに線を引かせた上で発表させる。板書する中で話し合い、軸を見出していく。もう一つの方法は、絵を元にあらすじを書いていく。「いつ」 「どこで」「だれが」「なにをした」「どうなった」を子どもに書かせることで、家族は死んでしまったこと、花園はちいちゃんの幻影であることが確認できる。
これは場面ごとに行う。特に、今回は時代背景が子どもにとって難しいので、実態にもよるが丁寧に扱ったほうが、軸が捉えやすくなる。

 ◎ 学習計画3:洞察し、軸をとらえる。
・ 今日の演習のポイントはここ。今までであれば、登場人物や読み手の視点で読んでいくところだが、今回は「戦争」を視点として読み進めた。「戦争」が視点?と疑問になるが、読み手で読んでいくけれども、観点を「戦争」として読んでいくという方がわ かりやすいかも。
・ 今回の軸については、より深く「書き手の言いたいことは何か」を考えると「戦争はちいちゃんから大切なものをうばった」になるのではないか。「戦争はむごい」等では、一般的であり、どの物語でもいえることである。「ちいちゃんのかげおくり」ではちいちゃんが感じた悲しさ、つらさもきちんと押さえながら、幼いちいちゃんからうばったものを、子どもに考えさせることで、より戦争の悲惨さが際立つのではないか。書き手がいいたいことは これだろうということで、今回の軸は「戦争はちいちゃんから大切なものをうばった」、視点は「戦争」となった。軸の「戦争はちいちゃんから大切なものを奪った」、大切なものとは何か考える と、「命」「楽しみ」の2つになった。「楽しみ」の中には遊びや 家族と過ごした時間等が含まれるだろう。
・ 「戦争」を視点として読んでいくと、2つの軸が出る。「戦争 は楽しみをうばった」「戦争は命をうばった」。子どもによってはいきなりこの軸を捉えるのは難しいので、子どもから出 てきそうな軸「戦争はこわい、いやだ」から、「なんでこわいの?」 と投げかける。また、子どもの発言に合わせて、「戦争はちいちゃんから何を奪ったのかな?」と投げかけると、子どももこの2つに気が付くのではないか。
・ 今回「戦争」を視点としたのは、「ちいちゃん」を視点とした 場合、子どもによっては軸を「家族に会いたい」とすると、「家族に会えてよかった」と捉えてしまうこともあるので、より書き手の言いたいことを読むためには、「戦争」という視点で読んだ 方がよいということになった。

◎ 学習計画4:分析・統一し、立体図を書く。
・ 「戦争は楽しみを奪う」の軸の立体図は左記のようになる。〇 を掴ませるときのポイントは、軸にある「戦争が楽しみを奪った ところが〇」になるという点。△は、〇を強めるものとして「楽しい」ところを選ぶ。最初の場面がほとんど△に含まれる。
   
・ 下記の「戦争は命を奪う」の立体図では、戦争が直接命を奪うということが明記されているところは「小さな女の子の命が空にきえた」のところ。これが〇。お父さんやお母さん、お兄ちゃんは亡 くなっているとはきちんと明記されていないので、〇はここだけ。△は「命を奪った原因」となるものを選ぶ。


◎ 学習計画5:意味づくりで、軸に迫り、内面を追求する。
・ 学んだことを血肉にするために行う。ポイントは「軸から離れず書く」こと。軸→花丸→というような順で書くと書きやすい。〇や△は全部入れなくても良いが、軸をつかんで○ △から行間の読みをして、軸から離れないことが大切。
・ 意味づくりのやり方としては、お手紙を書く方法も有効。今回 は読み手自身の家族にちいちゃんのことを話すという形で書いてみた。家族というのがポイントで、ちいちゃんにとって家族はかけがえのないものであり、子ども自身にとってもかけがえのな い家族に対して、ちいちゃんのことを話すことに意味があるのではないか。
・ 2つの立体図のうち、「戦争は楽しみをうばった」につ いて書いたもの。難しければ1つは先生と一緒にみんなでやり方 を確認することを含めやってみる。2つめの「戦争は命をうばった」は、子ども自分でやってみる。あくまで、実態によって。
 
 ※ 最後の場面「何十年後~」の取り上げ方
・ 学習計画2のあらすじでおさえる。そうでないと、立体図にはかかわってこないし、ふれないと戦争悲惨さを実感させるのには 十分ではない。いきなり何十年後といわれても、子どもによって はちいちゃんと同じ時間として捉えてしまう子もいるので、あら すじできちんとおさえた方がよい。
・ 5の場面は平和のよさを象徴しているのだから入れたい。 「戦争」という軸の隣に対比させて、
平和は素晴らしい
○ キラキラ笑い声をあげて・・・
△ ちいちゃんが一人でかげおくりをしたところは・・・
と入れてはどうか? 立体図を2つやったあと、意味づくりの前にやればよいか?
・ 戦争の立体図を作ってから平和の立体図を考え、最後の意味づ くりも戦争、平和の2本立てか。
    ※ ちいちゃんは空襲警報が鳴ってから何日後になくなったか? ⇒2~3日後になくなった。(この苦しみにも触れたい。)

 ◎ 学習計画6:高次の納得
・ 学習を通して学んだことから自分なりの考えをもち、話させる。 人生(生活)に生かすことができる。
○ 戦争は全てを奪うから絶対にやってはいけない 。(「なぜこんなひどい戦をやったのか調べたい。」と思い発展学習へ進みたくなる文章機能を持っている。)
○ 「戦争はしてはいけない」「なぜ戦争が起きるのか」「戦争のない世界をつくるにはどうしたらいいか」等と戦争 に関わることしか出ない。(発展学習として、戦争の被害や被災者の伝えている言葉、原因や平和を守る方法等に ついて調べたり、劇化して平和を訴えたりする活動にス ムーズに移行できる。)
  ○ 「平和とはどのようなことか(今の生活を振り返って 自分の過ごした日々はまさに平和であるという自覚)」や 「家族の大切さ」だったりと、戦争だけでなく平和の方 に目をむける子もいるか?(いたら、より発展学習が戦争と平和と対比出来て深まると思う。)