構造学習は、自分自身で問題をつかみ(目的を持ち)、自分自身の力で解決(追求)する力をつけていく学習方法です。
構造学習の原理の根幹
構造学習は学際理論が根底にあり、構造主義のアプローチが、国連の名において取りあげられています。未来学問的な立場の一つであることを考えると、構造学習論に地軸をおいた実践者は、これだけの学問をもっているのだから、何事があってもふらふらせずに集中できるのです。
わが国で「構造学習」を提唱したのは、沖山 光先生<1905(明治38)年生>で、昭和30・40年代の教科調査官時代に教育現場に大きな影響を与えました。
沖山先生の主張は、次のような学習観に基づくものです。
「『学習する』ということはその主体が生徒自身にあります。したがって、学習する順序や操作方法が生徒に体得されていて、その学習の順序に従って、与えられた問題を解明していく一連の行為が、学習の主体である生徒自身(個々の生徒)によって行われていくものであります。」(「構造国語教育入門」より)
学習する順序とは、勝手に順序を決めるということではありません。学習には、基本的な学習のプロセスがあり、そのことをよく理解していることが大切です。しかし、プロセスはどこまでもプロセスであり、それを知っていたから学習が成り立つというものではありません。そのプロセスに学ぶ側の思考操作力がどう備わっているかということが重要です。プロセスと思考操作の関係こそが学習の成立に欠かせない問題なのです。
沖山先生が主張されたことは、常に発問に導かれてしか成り立たない当時の授業のあり方に、鋭い疑問を投げかけるものでした。それは今日もなお問われ続けている課題です。
樋田 明